「話の聞き方」を教えるときの4つのポイント 〜静×聞×聞き方×定着〜 

話の聞き方が身につかない・・・

子どもへの大切な指導に「話の聞き方」があります。

 ▶︎ 先生が大事な話をしているときに、後ろを向いておしゃべりをしている
 ▶︎ 友達の発表のときに鉛筆をいじっている
 ▶︎ 自分の話だけして、相手の話を聞かない

話の聞き方が悪いと相手の子も話しづらくなりますし、子どもたち自身の「話す力」も伸びなくなります。

しかし、話を聞く大切さを教えても、なかなか覚えてくれないケースが多いです。特性などもあるでしょうが、将来のことを考えて身につけてほしいスキルです。

今回は、具体的な4つの教え方を紹介していきます(^ ^)(主に、集団指導での教え方ですが、個別指導にも十分使える方法です)


前提

話を聞けないからと言っても、それは「まだ覚えていない」というだけです。何か集中しにくい原因があるのかもしれませんし、発達段階的に難しいだけかもしれません。

もちろん、大人から見ると、心がざわざわしますし、注意したくなる気持ちは皆同じです。ただ「周りと比べてできない」からと言って、それは悪いことではないと抑えた上で、支援をしていきましょう(^ ^)


①「静か」という状態を教える

大人が見落としがちなのが「静か」という状態をイメージできてない子も多いということです。「静かにして」「ちゃんと聞くのよ」と言っても、そもそも「静か」とは何なのか分からなければ子どもたちは実行できません。


そこで、まず「静か」という状態を教えます。

例えば、「喋らないで、教室の中にどんな音があるか30秒で見つけてください。スタート。」と指示をしてみます。

すると、「シーン」とした状態で、30秒たちます。その後、子どもたちからどんな音が聞こえたか発表させて、「今、音を探そうと『シーン』とした状態になりましたね。これが『静か』という状態です」と教えます。

このように、「静か」という状態を体験を通して教えることで、先生から「静かにして」と言われた時に行動できるようになります。(特性でできなくても、頑張ろうとはしてくれるので、褒めることができます)


②「話を聞く」ということを教える

「静か」を覚えたら、「静かに話を聞く」ことを教えます。例えば、

「今から喋らずに、先生の話を聞いて、覚えてください」

と指示して、先生の話をします。


話はどんな内容でもいいですが、例えば、『先生は、朝起きると顔を洗いました。そして、朝ごはんを食べて、その後、歯磨きをして、着替えて、家を出ました』のように、身近なイメージしやすい話だとよく聞いてくれます。


またこの時に「覚えてください」のような能動的な指示にすることは大切です。これは「聞く」というような、受動的な行動は、イメージが難しく、人間は行動しにくいからです。

そうではなく、「人の話を聞いて覚える」のように、能動的な行動を指示をすることで、子どもたちは動きやすくなるのです。

そうして、先生が話した後は、「今のが『静かに人の話を聞く』ということです」と教えます。「話を聞く」というのは大人から見れば簡単なことですが、子どもから見ると意外と難しい行動です。よって、スモールステップを踏んで教えることが大切です。


③ 話の聞き方「あいうえお」

 その後、静かに話を聞くを覚えたら、その上のステップとして、「話の聞き方あいうえお」があります。

 ▶︎ あ:相手を見て
 ▶︎ い:いい姿勢で
 ▶︎ う:頷きながら
 ▶︎ え:笑顔で
 ▶︎ お:終わりまで

この5つを守って聞くと、話す人にとっても良い聞き手になることができます。

困難を持つ子がどこまでできるかは支援者が見極めていく必要がありますが、ASDなど対人関係の困難を抱える子にとっては、聞き方次第で対人関係に大きく影響することもあるので、大切な支援になります。 


④定着させる方法:イントラバーバル

「話の聞き方あいうえお」などスローガン的な指導の後には、子どもたちに定着させることが大切です。そして、定着させるためには、繰り返し教えることが必要です。

指導の一例として、イントラバーバルという方法があります。これは、「先生が途中まで言って、残りを子どもに言わせる」という方法です。


例えば、話し合い中ダラけている子がいたら、先生が「あ!」と声をかけます。すると、子どもたちは思い出して「相手を見て!」と答えて、発表者を見ます。このように、先生が合図を出し、子どもたちに教えたことを言わせます。イントラバーバルのメリットは「自分から行動させることが出来る」ということです。


先生が「相手を見なさい!」と指導すると、それは受け身で行動したことになるので、なかなか定着しません。

しかし、途中まで先生が言って、その後を子どもたちに言わせると
「自分で言ったこと=能動的なアクション」
となるので、ただ指導するよりも定着が早まります。


他にも、集団指導であれば出来てない子に個別に声をかけると、周りの子は「あの子はダメな子なんだ!」と誤解することがあります。よって、全体にイントラバーバルで声をかけることで、個別の子が目立たずに指導を入れることができます。

そうして、何度も「あいうえお」を唱えていくうちに子どもたちは話の聞き方を覚えていき、先生が言わなくても話が聞けている場面が出てきますので、その都度褒めて定着させていきます。


このようなステップで、指導を入れていきます。もちろん支援が必要な子には個別の配慮をしますが、多くの子は定着することができます。教育とは「しつこさ」が大切です(^ ^) 


最後に

話の聞き方が身についてくると集団に安心感が生まれて、子ども同士の仲も深まっていきます。最近は、特別支援教育の考え方が広まり、

 ▶︎ 「人はそれぞれ聞きやすい話の聞き方がある!」
 ▶︎ 「聞けてれば何だっていいじゃないか!」

という意見も出てきています。

しかし、この世の中は「人と関わって生きる」のが基本です。発達障害を抱える子のように、対人関係に困難を持ちやすい子であれば、なおさら話の聞き方は身につけた方が、将来のメリットは大きいです。


困難に配慮をしつつ、楽しく身につけられるといいですね(^ ^)

以上です!



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