特別支援教育が大切な理由 〜発達障害×グレーゾーン〜

なぜ特別支援教育が重要なのか?

 現在、教育現場・療育現場では「特別支援教育」の重要性が高まっています。しかし、特別支援教育とはそもそも何なのか、ということを最初に紹介します。

 まず皆さんは「特別な支援が必要な子」と聞いてどのような子を想像するでしょうか?とある講演会でこの質問をすると、

 ▶︎ 「発達障害のある子」
 ▶︎ 「家庭環境が良くない子」
 ▶︎ 「教室で授業に参加できない子」

など色々な意見が出ました。

 例えば、私が記憶する限り今まで以下のような子がいました。

 「特別な支援が必要」というと、このように多くの子が対象となります。今までも親、先生、医療福祉など現場の多くの方が関わって、支援をしてきた子供たちです。しかし、なぜ今「特別支援教育」がクローズアップされるようになったのでしょうか?


 それは、「発達障害」という概念が出てきたことに始まります。

「障害者」は普通のクラスにはいない?

 現在もそうですが、身体障害や重度知的障害を抱えた子たちは、特別支援学校で教育を受けることが一般的です。
 そのため「障害のある子ども」という認識は、全国の多くの普通学校では認識されていませんでした。

 しかし、2002年文部科学省の調査で通常の学級にも「発達障害的な行動特性もった子」が6.3%(30人のクラスで2〜3人)いる可能性があることがわかりました。(あくまで現場の先生の主観的な判断の統計で診断ではない)
そのため、特別支援学校以外の、普通の公立学校の先生も特別支援教育の知識を身につけることが必要である、という流れが生まれました。

それから、15年以上たち、法律や制度環境が整ってきて、徐々に特別支援教育の考え方が広まってきました。より多くの人に特別支援教育の考え方を知って欲しいと願っています。


特別支援教育のメリット

 上述したように、通常級にも発達障害を抱えた子が存在するため、全ての先生に特別支援教育の考え方を身につけることが求められているわけですが、それ以外にも特別支援教育を学ぶメリットが多くあります。


 2004年の中央教育審議会で、「発達障害」の知識を中心とする特別支援教育の推進は、その当時から存在した、いじめ・不登校・非行・虐待など家庭問題など多くの教育問題の解決に役立つと言われました。

 実際、この20年で研究が進み、発達障害を抱える子どもは、いじめで加害者・被害者になる可能性が高い、不登校になるリスクが高いなど多くの社会問題の要因に関わっていることがわかってきました。

 学校現場では、多くの問題が噴出している状況ですが、解決の方法として「特別支援教育」を学ぶことは有効だと言えるでしょう。では、実際にどんなメリットがあるのか?私は「汎用性の高さ」「原因を探る目が手に入る」という2つのメリットがあると思っています。

①汎用性の高さ

詳しくは後述しますが、1つは「全ての教育活動に応用できる」という汎用性の高さがあります。元々学校教育は、学習指導要領のカリキュラムが初めに用意されており、それを子どもに「どう教えるか?」という考えが基本でした。

 一方、特別支援教育は「目の前の子をどう成長させるのか?」という発想から始める「個から始める教育」です。

 支援が必要な子は、様々な課題を抱えています。

 例えば、

 ▶︎ 言語能力
 ▶︎ コミュニケーション能力
 ▶︎ 運動能力
 ▶︎ 注意力
 ▶︎ 記憶力
 ▶︎ 想像力

など様々な力に課題を抱えていますが支援が必要な子の課題は、実は全ての子どもが持っている課題です。
だからこそ、特別な支援が必要な子を成長させる「特別支援教育」の知識は、実は全ての子を育てるときに活かせる知識となるのです。

 例えるのなら、スポーツにおけるウェイトトレーニングのようなものと言えます。土台となる体の機能を高めることができれば、全ての競技においてレベルアップが可能です。
よって、特別支援教育の知識は、教科教育や社会性の育成を始めとする全ての教育活動で活用できる知識となります。

 これらの汎用性の高い知識を得ることは大きなメリットですし、全ての先生に学んで欲しいと思っています。 


② 原因を探る目が手に入

例えば、廊下で泣き叫んでいる子どもがいたとします。その子を見たときに、

 ▶︎「怪我や病気など、体に課題があるのか?」
 ▶︎「発達障害など脳に課題があるのか?」
 ▶︎「心や精神状態に課題があるのか?」

のように、目の前の子の状態を学問の知識を元に「原因を考える眼」を持てることは大きなメリットです。
 なぜなら、人は原因や理由がわからないことに直面した時、心が最も不安定になり、不適切な行動をしてしまいます。

 学校にはいまだに大声で子どもを叱っている先生もいます。それは、先生自身の資質もありますが、単純に

「目の前の子がわからない」
「自分の想像を超えてしまっている」

という、状態になり先生自身もパニックになり、適切な判断が不可能になっているケースが多々あります。

 逆に考えると、子供を見て「なるほどね〜」と曖昧でも原因が予測できると、「じゃあこうしてみようかな!」と、冷静な態度と対応につなげることができます。

 このように、子供を見る「視点」が手に入ること、大きなメリットと言えます。


最後に

 視点には色々あります。例えば、心理師の方であれば、心理学の知見から子どもの状態を把握します。医療関係者であれば医学的な知見から考えますし、教師なら学習状況の背景から考えることもあるでしょう。

 特別支援教育では、曖昧なセンスに頼る見方ではなく、理論的な背景を踏まえて状態を予測します。これをアセスメントと言います。
 特別支援教育では、様々な視点を学ぶことで、子どもの状態をアセスメントします。そして、状態に合わせた手立てをその都度打ちながら、子どもの成長を支えていきます。


 当研究会では、講演会・イベント・養成講座など様々な手段を使って、支援者・教育関係者の皆様に伝えていいく予定です。ぜひ今後ともよろしくお願いします(^ ^)


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