学力を高めるには?
子どもが勉強が苦手だと、親御さんや先生はなんとかしてあげたいと思います。
しかし、ネットで調べると有名な進学塾から、怪しげな教材まで様々な方法が紹介されているため、「何が正しいの?」と混乱してしまうこともあると思います。
実際、学力へのアプローチは様々ですが、今回は、筑波大学 紙上敬太准教授と神戸大学 石原暢助教授が参加する国際共同研究より、運動と認知能力・学力に関する面白い研究が発表されていたので紹介します(^ ^)
習慣的な運動が子どもの脳の発達を促す

この国際共同研究では、
「習慣的運動が認知機能(特に学力に関係する力)に与えるプラスの効果は、もともと認知機能が低い子どもほど大きい」
という研究結果を発表しました。
参考HP『習慣的運動は子供の脳の発達を促す ~認知機能の個人差によって異なる運動の効果~』
<https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_07_03_02.html>
元々、先行研究では、習慣的な運動が学力と関係している認知機能を改善させることが報告されていました。しかし、「運動によって学力は変化しない」という報告もあり、より詳細な研究が勧められていました。
もちろん、学力には様々な要因が関係していますが、今回の研究では「個人差」に注目して調査したことがポイントです。

国際共同研究チームが実施してきた3つの調査を分析したところ、
① 運動トレーニング前にもともと認知機能が低かった子供ほど、運動トレーニングによる認知機能の改善が大きい
② 運動トレーニング前から認知機能が比較的高かった子供でも、運動時間の増加によって認知機能が低下しなかった
ということが示されました。(図1)
特に、学力と関係の深い認知機能に焦点を当てた研究ですので、日常的な運動が「脳の発達」「学力の向上」に重要であると発表しています。
今後の展開
今後の展開としては、
▶︎ 認知機能が低かった子の理由はわからないので、詳しく調べる
▶︎ 自閉症やADHDなど発達障害を抱える人にそのまま適応できるかは不明なので、どのような人に運動効果が高いのか、より個人差に焦点を当てて探る
という点が紹介されています。
習慣的運動は子供の脳の発達を促す ~認知機能の個人差によって異なる運動の効果~
https://www.mdpi.com/2077-0383/9/7/2071
現場では?
今回の研究は、かなり現場的にも応用できる可能性を感じます。
発達が遅れている子、偏っている子に対して、
「たくさん勉強をさせればなんとかなる」
と考える指導者、親御さんは多いです。
もちろん、成功すれば良いですが、子どもに過度の負担、トラウマとなることもあります。
「学力を伸ばすために運動をする」
急がば回れのようですが、認知機能の遅れのある子にとっては、親御さんに運動アプローチを提案することで、余計な負荷を減らすこともできるかもしれません。
最後に
▶︎ IQがグングン伸びる記憶トレーニング
▶︎認知機能が伸びるプリント学習
など、本当か?詐欺商法か?真偽がわからないアプローチが世の中ではたくさん紹介されています。
そのような中で、一歩ずつ事実を確かめようと日夜研究が続けられています。研究の世界と現場の知見を共に取り入れながら学んでいきたいですね。
以上です。参考になれば幸いです(^ ^)