発達障害の当事者の方の中には、二次障害も合わせ持つケースがあります。二次障害によって、元々の発達障害の症状が見えにくくなってしまったり、より困り感が大きくなってしまうこともあります。
この記事では、
- 発達障害の二次障害とは何か?
- なぜ二次障害が起きるのか?
- 二次障害を予防するための方法は?
- 二次障害が起きてしまった時の対応は?
などを説明していきます。
発達障害とは
発達障害とは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)などの、脳機能の障害のことをいいます。発達障害について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
発達障害とは何か? 〜法律に基づく3つの特徴〜
ADHDとは? 〜診断基準×行動の特徴×子供と大人の違い〜
こだわり行動がある子への対応 〜ASD(自閉症スペクトラム)の子のアプローチの方向性を考える〜
LDの子は見捨てられてきた? 〜学習支援と対人スキルの関係性〜
発達障害の二次障害とは
定義
- 二次障害とは、発達障害等の困難をきっかけにして起こる二次的な障害や問題のことです。
- 問題行動や精神疾患など、多様な形で現れます。
二次障害の症状
【精神的な症状】
うつ症状
うつ病
依存
対人恐怖
【身体的な症状】
発熱
下痢
嘔吐
頭痛
【問題行動】
不登校
引きこもり
かんしゃくを起こす
校内暴力
家庭内暴力
二次障害は障害の名前そのものではなく、
こうした症状の状態をあらわしたものです。
例えば、
「ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性によって、学校での人間関係構築が上手くいかず、引きこもり状態になってしまった」
このような場合は、引きこもり状態が二次障害となります。
なぜ二次障害が起きるのか
二次障害は、発達障害を持つ当事者と環境とのミスマッチによって起こると考えられています。
発達障害は目に見えにくい障害であり、困り感を説明することが難しく、周囲から誤解されることも多いです。
また、当事者全てが診断を受けているわけではありません。自身が発達障害だと知らないケースもあります。
このような事情から、発達障害を持つ人は、家庭や学校、職場などで周囲の理解が得られず、責められたりいじめられたりしてしまうことが多くあります。
辛い経験を重ねていくことによって、自尊心の低下や反抗的な感情が起きてしまい、結果、二次障害へ繋がっていきます。
二次障害を予防するには
発達障害では低年齢から症状が見られますが、二次障害では思春期や大人になってから発症するケースが多く見られます。
(大人になって精神疾患をきっかけに受診したら、発達障害の診断も同時にされた当事者の方もいらっしゃいます。)
二次障害の原因は環境とのミスマッチですから、予防には発達障害当事者をどのように周囲がサポートするかが大切になってきます。
学校では・・・
- 早めに専門機関を受診し、発達障害の診断を受ける
- 療育やトレーニングなどに取り組む
- 生活習慣を整える(※なぜ発達障害を抱える人は、睡眠障害を併発することが多いのか?参照)
- ペアレントトレーニング(※ペアレント・トレーニング講座参照)
家庭では・・・
- クラス担任だけではなく、学年、学校単位での支援(専門機関やカウンセラー等)
- 発達障害の特性に対する配慮(居場所を作り、いじめを防止する等)
このように、周囲の人達のあたたかな理解が、二次障害のリスクを下げることに繋がります。
二次障害症状への対応
では、実際に二次障害が起きてしまった場合はどう対応したら良いのでしょうか?
状況が深刻になるケースも多いため、個人での対応は難しいケースもあり、専門機関が中心となって対応が推奨されています。
・各種医療機関
・発達障害情報・支援センター
・児童相談所
各種医療機関(心療内科や児童精神科など)では、カウンセリング、投薬治療などを受けることができます。
例えば、発達障害情報・支援センターは、発達障害者のための支援機関です。各地域にあり、指導と助言を担っています。他にも児童相談所は、子どもに関わるあらゆる相談に対応するための機関です。療育手帳についての手続きも担当しています。
こうした専門機関に相談し、適切な支援を受けることができます。
まとめ〜正しい理解が予防に繋がる〜
以上、発達障害の二次障害について説明してきました。
- 発達障害も二次障害も「目には見えづらい」
- 正しい理解が二次障害の予防に繋がります。
- 早期に専門機関に相談・受診することで予後の改善率が高まる