子どもは「教師の魅力」をどう感じているのか? 〜6つの力と小中高の違い〜

教師の魅力

学校において多くの子どもは、魅力的な先生に担任をしてほしいと願っています。

もちろん先生もそれを理解しているので、面白い授業や学級経営を日々考え続けていますが、やはり「あの先生は当たり!」「今年はハズレだったわ」のような評価が存在することも事実です。

これには色々な要因がありますが、そもそも先生が「子どものニーズ」を把握していないことが原因にあるかもしれません。先生が一方的に良いと感じることばかりしていると、子どもの心は離れていってしまいます。

今回は、そんな子どもから見た「教師の魅力」について紹介していきます(^ ^)

 

6つの力

  • この先生の授業は子どもが積極的に参加している
  • この先生が指示をすれば、子どもがすぐに動く

そんな実力のある先生は何が違うのでしょうか?

 

早稲田大学大学院の河村茂雄先生は、子どもが感じる教師の魅力を6種類に分類して調査をしました。

  • 準拠性=尊敬できる先生
  • 親近・受容性=親しみやすい先生
  • 熟練性=授業が上手な先生
  • 明朗性=明るい先生
  • 正当性=先生らしい先生(立場が上の人)
  • 罰・強制性=怒る・怖い先生

(以下では、わかりやすいように黒字の「〜な先生」という分類で紹介します)

 

子どもに実際にアンケートをして分類した結果、上記の6つの力の影響が大きいとわかりました。

※なお外見に対する評価もありましたが、子どもは「内面が良い先生=外見もいい先生」と認識していたため、調査からは外されています。(内面が良いとやはりカッコよく、美しく見えるようですね(^ ^))

 

そして、上記の6つの力は小中高それぞれの校種で、子どもの感じ方に違いがありましたので、以下で紹介します。

 

小学生が感じる教師の魅力

小学生は、「魅力的な先生」と「怒る・怖い先生」の2つのタイプで先生を見ている傾向がありました。

簡単に言えば、

  • 親しみやすく、尊敬でき、明るくて、授業が面白い先生だからいうことを聞く
  • 言うことを聞かないと怒られるのが怖いからいうことを聞く

 

という2つの傾向があります。

 

特徴的なのは、「授業がうまい先生」=「人間性も魅力的な先生」だと捉えていることです。

も「子どもとうまく関われるかわからない・・・」と自分の性格に悩んでいる先生は、授業力を高めることで、子どもから「性格・内面も魅力的な先生」だと認識されることができる、と言うことです。

「教え上手は人間性に通ず」と言われるのは、子どもから見てた時にも当てはまると言うことです(^ ^)

 

中学生が感じる教師の魅力

中学生は、小学生と比べて先生の見方に変化が現れます。

最も大きな特徴は、「先生の魅力」を「人間性」と「教師の役割」の2つの面で分けて認識している点です。

 

「人間的に魅力な先生」とは、親しみやすく、尊敬できる先生、つまり困ったときに親身になって相談にのってくれたり、上から意見を言うのではなく子どもからの意見を平等に聞いてくれる、そんな先生に「人間性の魅力」を感じるということです。

また、授業をわかりやすく教えてくれたり、勉強の必要性を熱く語って伝えてくれる「教師の役割」を果たしている先生が、魅力的に映るようです。

 

中学校の先生は、「授業」「人間性」どちらかではなく、両方のスキルが求められると言えるでしょう。そして、両方があれば、時に叱って厳しく接したとしても、納得して受け入れてくれます。逆に、どちらか一方しかないのにもかかわらず、厳しく接してしまうと、「先生、うぜー」と言われて、心が離れていってしまうのです。

 

昔は先生に反抗したら「内申を下がってもいいのか!」という脅し文句を使う先生もいましたが、今の時代にはこのような行動は即アウトであると言えるでしょう。

 

高校生が感じる教師の魅力

 

高校生は、中学生と同じく、「人間性」と「教師の役割」という視点で魅力を感じているようです。

 

異なっているのは、中学生では、勉強の必要性などを熱く語っていた「先生らしい先生」を、人間的に魅力的な先生だと捉えている、ということです。つまり、一人の人間として尊敬して、親しみを持てるかどうかを高校生は重視しているのです。

 

また、高校生は「教師の役割の魅力」を、「授業のうまさ」と「明るさ」に感じています。

これは難易度の上がった教科内容を、子どもに合わせてアレンジして、楽しく教えてくれる先生に「教師の役割としての魅力」を感じているのです。

 

最後に

今回は、6つの力をもとに教師の魅力の紹介をしました。小中高でそれぞれ特徴がありましたが、もちろん子ども一人ひとりの中にも感じるものは異なります。

 

しかし、子どもの「教師の魅力」の感じ方がどのように変化するのかを知っていれば、今の目の前の子を理解するヒントになるのではないでしょうか?

 

特に、発達障害などの困難を持つ子は、より自分を理解してくれる先生に敏感であり、個人の影響が強くなります。よって、組織的なシステムでは対応しきれない部分が出て来てしまいますので、先生一人ひとりのレベルアップが重要になります。

今回の内容が参考になれば幸いです!(^ ^)

 

参考:河村茂雄(2002)『教師のためのソーシャルスキル』誠信書房

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