不器用さのある子への文具支援

「どんな支援グッズがありますか?」

公立小学校の先生と話している中で

「どんな支援の道具があるのかいろいろ知りたいので紹介してほしい」

というリクエストをいただきました。


今回は、いろいろな支援グッズの中から、不器用さのある方、あるいは、初めて文房具を使う小さなお子さんにも使えるアイテムをご紹介します。

※今回ご紹介するものは、筆者が実際に支援で使ったことのあるものですが、同じ用途の文具がいろいろと出ていますので、使用者の実態に合わせてお選びいただくことがいいと思います。

鉛筆がうまく持てない

手先や指先を上手に使う力のことを「巧緻性(こうちせい)」といいます。

鉛筆をうまく持てない、筆圧が強い・弱いなどは巧緻性の低さが関係しています。

巧緻性が低いお子さんにとって普通の鉛筆は、細くて持ちにくく、操作しにくいのです。 以下の二つのアイテムはそんな持ちにくさを軽減してくれる文具の一例です。

「こどもえんぴつ(くもん出版)」

軸が太めの三角形になっていて正しい握り方がしやすくなっています。2B、4B、6Bがあり、手の大きさや筆圧に合わせて選べます。また、色鉛筆も販売されています。手が小さい子や、運筆が苦手な子は使いやすいと気に入っていました。軸が太いため専用の鉛筆削りが必要なことと、一般的な箱型の筆箱に入らないことがあります。

「プニュグリップ(クツワ)」

普通の鉛筆に装着するタイプのものです。正しい持ち方の指の位置にくぼみがあります。持つ部分が太くなるので持ちやすく、感触もやわらかくて気持ちがいいです。右利き用と左利き用が売られています。滑りにくくなっているので、脱着に少し慣れが必要です。こちらも箱型の筆箱に入らないので、しまうときや鉛筆を削るときにいちいち外すのが少し手間かもしれません。

定規やコンパスがうまく使えない

小学校の算数の学習で道具がうまく使えずつまずいてしまう子がいます。

そのストレスから解放してあげられるかもしれない文具です。

また、これらは不器用さのない方でも使いやすいので、仕事や家庭で使うときなどにもお勧めです。

「ゴムQ滑らない定規(埼玉福祉会)」

滑りにくく安定して線を引くことができます。滑りにくいため、紙の上を滑らせて場所を変えるのは難しいですが、持ち上げやすい形状になっています。定規が透けていないので置いた位置が少し確認しにくいことと、お値段が少し高いので、似たような商品でも代用は可能かと思います。

「くるんパス(ソニック)」

 「くるんキャップ」を着けると、指先でねじらなくても円が描けるコンパスです。普通のコンパスに慣れていると、初めは違和感を感じるほどの回し心地です。巧緻性のトレーニングにならないから普通の子には使わせたくないと言う先生もいるほどでした。キャップを外すと普通のコンパスとして使うこともでき、キャップは針のふたにもなるので安全面も考慮されています。

工作をさせるのに怪我が怖い

ハサミやカッターがうまく使えず、見ていて怪我をしそうで怖い。

低学年の先生や、図工の先生に評判のよかったアイテムです。

「キッズカッター『キッター』(オルファ)」

 刃が少ししか出ないカッターです。持ちやすく、力も入れやすいので、初めてカッターを使う小さな子にもお勧めです。刃を出しすぎで折れてしまったり、けがをしたりする心配が少なくて済みます。刃も安全に折れるので、刃を折る練習にもなります。

「かんたん鋏(ノーブランド)」

 持ち手が輪っかになっているハサミです。

握るように持つので力が加えやすく、切った後は自然と刃先が開くのでコントロールがしやすいです。

一般には販売されていないのでネットで買おうとするとかなり高額で売られていますが、「ループハサミ」で検索すると海外のものなどが出てきます。

まとめ

さて、いくつか紹介してきましたが、担任の先生方と話していて話題になるのが、「便利な道具はありがたいけれど、あまりにも簡易に使えすぎると巧緻性が育たなくなってしまうのではないか」ということです。

幼稚園や小学校低学年では、糊を使うときに、指先の感覚を磨くためにわざとでんぷん糊を使うこともあるほどです。普通の道具を使わせて巧緻性を育ててあげるのか、育てる事よりも使いやすい道具を与えてストレスを軽減してあげるのか。

どちらも正しい視点なので、子供の実態に応じて選んであげる事が大切ですね。

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