凸凹マップ!第4回【後編】発達障害体験談〜海外で居場所発見〜

シリーズ「凸凹(でこぼこ)マップ!」は、発達障害当事者の人たちの体験談をまとめた連載です。

発達障害は(でこ…得意な部分)と(ぼこ…苦手な部分)の差が大きい障がいと言われています。
詳しくは発達障害とは何か? 〜法律に基づく3つの特徴〜をご覧ください。

こうした発達障害について、まだまだ世の中には認知されていない現状があります。目には見えづらい障害だからこそ、なかなか周囲に辛さを分かってもらえず、苦しい思いをしている当事者の人たちが多く存在しています。

シリーズ「凸凹マップ!」は、そうした人たちの手助けをするために執筆しました。この連載が、発達障害で悩む当事者、保護者、支援者の人たちの、障害を理解するヒントになれば幸いです。

前編のふりかえり

うぱるぱさん

  • 女性
  • ASD(自閉症スペクトラム)当事者
  • 教育関係(一般就労)

<<前編はこちら>>

前編では、主にうぱるぱさんの大学生時代を振り返り、語っていただきました。

大学4年の頃、発達障害の症状で卒論が書けずに、検査したところ自身の発達障害が発覚したうぱるぱさん。ショックを受けながらも前向きに努力を重ね、苦難を乗り越えて卒論を書き上げ、大学を卒業しました。
それが大きな自信に繋がったそうです。

後編では、教職に就いたうぱるぱさんの、その後を綴ります。

発達障害体験談

数年間、教員として働くが精神疾患を発症してしまう

大学卒業後、教員として勤めたそうですね。

はい、数年間働きました。
しかし心を壊してしまい、辞めてしまったんです。

そうだったんですね……
どんなことが辛かったんですか?

教員というのは、元々かなりマルチタスクな職場なんですよね。
発達障害を持つ人が苦手な分野で、加えて激務でもあり……

なるほど……

今にして思うと、二次障害の影響もあって、病んでしまったのかもしれません。

「海外なら働けるんじゃない?」精神科の先生のすすめで海外へ

その頃には別の精神科の先生にお世話になっていたのですが、
その先生から「海外なら働けるんじゃない?」と言ってもらいました。

性格や考え方に、海外で働く適性があるかもしれないと。

そうなんです。それで退職後に海外支援団体に申し込んで、数年間働くことになりました。

すごい行動力ですね!!

もともと興味があったんですよね。
以前、「多言語を勉強したらマルチタスクができる」という論文を読んで、勇気付けられたことがあったんです。

日本で教員として数年間勤めた後、精神疾患を原因として退職したうぱるぱさん。
しかしすぐに海外で教員として働くことを決意します。

多様性が認められている場所なら、楽に過ごせる

海外での生活はどうでしたか?

一言でいうと、楽でした。
海外では、自然と多様性が認められる風土があるんですよね。
みんなと同じである必要がない。だから馴染めました。

当事者の方のお話を色々と伺っているのですが、確かに社会生活で苦労されている方がとても多いんです。
海外では、そもそも他者との違いが大きいので、みんな同じという考えがないのかもしれませんね。

そうなんですよね!
本当に穏やかに、楽しく勤めることができました。現地の人もあたたかくて、子どもたちも慕ってくれて…こういう環境もあるんだなと感じました。

ご自身に合った環境だったんですね!
教職はマルチタスクで……とありましたが、そこはどうでしたか?

生活面でのサポートが大きいですね。現地にはメイドさんがいて、家事全般をやってくださるんですよ。
私は仕事と家事の両立が難しいので、そこはとても助けられました。

海外で教員として働く居場所を見つけたうぱるぱさん。とても適性ある環境で、幸せに勤務していたそうです。
しかし、コロナ禍が原因で帰国を余儀なくされてしまいました。
今はまた、日本で教員として勤務しているそうです。

教育業界には発達障害の情報が集まってくる

私も以前、教職に勤めていたので、仕事の大変さはよくわかります。うぱるぱさんが教員として働き続ける理由ってなんでしょうか?

激務ですが、やりがいもある仕事ですからね。
当事者としては、情報収集のため、というのも大きいです。

情報収集ですか……

教育業界には、発達障害に関する情報が集まってくるんですよ。
生徒から発達障害について学ぶことも多くて。自身の症状に対する洞察が深まります。
ですから、今後も教育業界には居続けるつもりです。

当事者として、教育業界への提案

当事者として、また教育業界に携わる人間として、
教育がこうなったらいいな……という希望はありますか?

臨床発達心理士の先生を、1校に1人派遣すべきだと考えます。

困り感を抱えている子どもがいるとして、その子の発達特性に合った提案をできるのは、やはり発達障害についての専門性が高い人だと思うんです。
例えば勉強法ひとつとっても、合わない方法で苦しんでいる子どもが大勢いるわけですよね。

現場の先生は教育のプロですが、
だからといって発達障害に必ずしも理解があるわけではないですものね……

子どものためを思っていたとしても、その子に合わない方法では効果が出ないですよね。善意の押し付けで困らせてしまいかねないんです。
やはり発達障害については、臨床発達心理士の先生をはじめ、専門家の協力が必要だと思います。

思い切って外に出れば、居場所が見つかる

今発達障害で困り感を抱えている人に、アドバイスをお願いします。

学校の先生が言う程、社会は厳しくない。
実際に社会に出てみてそう感じます。

思い切って外に出てみれば、居場所が見つかることもあります。

うぱるぱさんは、海外で幸せに勤務できましたもんね!

私は元々、「担任は持てない」と言われていたんです。
そんな自分を変えたくて海外に行きました。慕ってくれる子どもたちがいて、本当に楽しく働けたんです。そんな環境もあったんですよね

視野を広げれば、何かが変わるかもしれないと。希望の持てる体験談ですね!ありがとうございました。

「凸凹マップ!」第4回まとめ

今回は、教育業界に勤める当事者の方からお話を伺いました。

うぱるぱさんは発達障害の特性のために、多くの困難を抱えていたはずですが、視点を変えて海外で教職に就き、自分に合った環境を見つけ出すことに成功しました。

「自分が楽に過ごせる環境がある」というだけで、人は勇気付けられるものだと思います。

うぱるぱさん、ご協力頂きありがとうございました。

また色々な当事者の方にお話を伺っていきたいと思います。

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