凸凹マップ!第6回【前編】発達障害体験談〜頑張り過ぎず、ゆるゆると〜

シリーズ「凸凹マップ!」について

シリーズ「凸凹(でこぼこ)マップ!」は、発達障害当事者の人たちの体験談をまとめた連載です。

発達障害は(でこ…得意な部分)と(ぼこ…苦手な部分)の差が大きい障がいと言われています。
詳しくは発達障害とは何か? 〜法律に基づく3つの特徴〜をご覧ください。

こうした発達障害について、まだまだ世の中には認知されていない現状があります。目には見えづらい障害だからこそ、なかなか周囲に辛さを分かってもらえず、苦しい思いをしている当事者の人たちが多く存在しています。

シリーズ「凸凹マップ!」は、そうした人たちの手助けをするために執筆しました。この連載が、発達障害で悩む当事者、保護者、支援者の人たちの、障害を理解するヒントになれば幸いです。

発達障害体験談

当事者ロートさんのプロフィール

ロートさん

  • 女性
  • ASD(自閉症スペクトラム)当事者
  • 二次障害で2回うつ病を発症
  • IT系技術職(クローズ就労)

ASDの症状について

ロートさん、よろしくお願いします!
まず、ASDの症状についてざっくりとお聞かせください。

コミュニケーションの面で難しさを感じることが多いです。
相手の言っている意味を一発で聞き取れなかったり、円滑にやりとりできなかったり……
社内の人間関係づくりが大変だと感じていますね。

小学生の時、兄弟の診断と一緒に発達障害が発覚

発達障害の診断はいつ頃されたのですか?

2回受けました。
初めは小学生の時、2回目は大人になってからですね。どちらもASDの診断を受けました。

診断のきっかけはありますか?

もともと兄弟がLDの傾向があって、ついでに私も診断してもらったらASDだったんです。
下の兄弟よりも、ついでに調べた私の方が発達障害の程度は重かったので、両親は驚いたでしょうね……。

たまたま分かった形だったんですか……!その後はいかがでしたか?

両親から発達障害に対する理解は得られず

うーん。理解されなかったですね。
両親は学費に関してはかなり支援してくれました。塾にも通わせてもらいました。
でも、私の発達障害に関しては関心がなかったように感じます。

発達障害と関連して、勉強面でのお困りはなかったのですか?

勉強はできる方だったので、そこは問題なかったですね。

「投資に見合ういい子」を求められて

子どもに診断が下りたとしても、発達障害に関心のないご両親は少なくはありません。
大きな問題がない限りは「様子見」される方もいらっしゃると聞きます。

しかし、どうやらロートさんの場合、問題はそれだけではなさそうです。お話を伺っていくうち、ご家庭の事情が少しずつ明らかになってきました。

記憶に残っている言葉なのですが、
親はよく「投資に見合うような人間になれ」と言っていましたね。

え!?それはどういうことですか?

親の期待するように育てということです。
学費をたくさんかけたんだから、その分いい子になれという意味なんでしょうね。

何だか……息苦しいですね。

人並みにならなければという思いが強い

就労してから、二次障害でうつ病を発症してしまったんですが、うつ病に対する理解も得られず辛かったですね。
両親は私に聞こえるように「うつ病の人は死んだ方がいい」と悪口を言っていました。

うーむ……

私の場合、発達障害とこういった家庭の事情が複雑に絡んでいます。
症状が出てもどちらが原因か、それとも両方が原因なのか?特定が難しいことがあります。

ただ、自分は勉強ができた方なんですね。
そこで力を伸ばすことができたので、今の仕事に繋がっている部分はあります。

前編まとめ

なるほど!ロートさんはIT系の技術職をしていましたよね。
今の仕事について詳しく伺ってもいいですか?

前編では、ASD(自閉症スペクトラム)当事者のロートさんからお話を伺いました。
うつ病の発症原因は発達障害によるものなのか、家庭環境によるものなのかご自身でも判断がつかないそうですが、ひたむきに努力されている姿が感じられました。

後編では技術職をされているロートさんのお話を詳しく伺っていきます。

<<後編はこちら>>

<<バックナンバーはこちら>>

こども発達支援研究会の紹介

研修会の案内

こはスクのご案内