障がい者雇用とは、事業主や自治体が障がいのある人を対象として行う雇用形態です。
障がい者の方が企業や自治体などで働きやすいように、また健常者の方と比べて不利になることがないように厚生労働省が作った制度です。
この記事では、
◯ 障がい者雇用の対象となる人
◯ 一般雇用(通常の雇用)との違い
◯ 障がい者雇用の現状
などを説明しています。
障がい者雇用とは
先に述べたように、障がい者雇用とは、事業主や自治体が障がいのある人に限定して行う雇用のことです。一般雇用(通常の雇用)だけでは、応募する障がい者の方が不利になることがあるため、障がい者の方のための特別な雇用枠が設けられています。
障がい者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障がいの特性等に応じて活躍することが普通の社会、障がい者と共に働くことが当たり前の社会を目指し、障がい者雇用対策を進めています
(厚労省H Pより引用)
障がい者雇用は、障がい者雇用促進法によって規定されています。この法律を基に、厚生労働省は様々な施策を行っています。
企業や自治体は従業員数に応じて、障がい者を一定数雇用することが定められています(雇用義務制度)。
例えば民間企業の場合は、従業員中2.2%、障がい者を雇用することとなっています(記事執筆時現在)。従業員が100人の民間企業の場合、3人は障がいを持つ人を雇用する必要があります。
障害者雇用促進法の概要について紹介しています。…
詳細は厚生労働省のHP、障がい者雇用促進法の概要をご覧ください。
障がい者雇用の対象となる人
障がい者雇用の対象となる人とはどんな人でしょうか。
これは、障がい者雇用の名前の通り、障がいを持つ人が対象になります。
◯ 身体障がい
◯ 知的障がい
◯ 精神障がい
◯ 発達障がい
これらの障がいを持つ人が対象になります(※厳密には、発達障がいは精神障がいの中に含まれます)。
なお、障がい者雇用に応募する際は、障がい者手帳や医師の診断書などの証明が必要となります。
- 身体障がいの場合……身体障がい者手帳または医師による診断書
- 知的障がいの場合……療育手帳または児童相談所・知的障がい者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医・障がい者職業センターのいずれかによる判定
- 精神障がいの場合……精神障がい者保健福祉手帳
- 発達障がいの場合……身体障がい者手帳または精神障がい者保健福祉手帳
詳細は企業や自治体にお問い合わせください。
障がい者雇用と一般雇用の違い
障がい者雇用と一般雇用との違いは何でしょうか。
まず、障がい者雇用の場合、雇用側からの理解が得やすいという点が挙げられます。また、企業にもよりますが障がいを持つ人に対する教育体制が整っていて、困り感のある人でも馴染みやすい特徴があると考えられます。
しかしその反面、障がい者雇用は一般雇用と比べて雇用枠が少なく、賃金も一般雇用に比べて低い傾向があります。
平成30年5月の平均賃金をみると、身体障がい者は21万5千円、知的障がい者は11万7千円、精神障がい者は12万5千円、発達障がい者は12万7千円となっている。
厚生労働省HP 平成30年度障がい者雇用実態調査の結果を公表します
(※上記のデータは全体の2割が週の労働時間30時間未満の労働者や、時給制の労働者を含めたものになります。)
条件は企業や自治体によるところも大きいため、一概には言えませんが、障がい者雇用に応募する際は、こうした現状を踏まえて考える必要があるでしょう。
障がい者雇用で働いている人の数
現在、民間企業に採用されている障がい者の数は53.5万人です。
障がい者の実雇用率(常勤で働く労働者のうち、常勤で働く障がい者の数)は2.05%となっています(平成30年度6月1日現在)。障がい者の雇用数は年々増加傾向にあります。
障害者雇用対策について紹介しています。…
厚生労働省HP 障がい者雇用のご案内 〜共に働くを当たり前に〜 より引用
まとめ
ここまで、障がい者雇用についての解説を見てきました。
障がい者雇用では、障がいに対する理解が得やすい点が大きなメリットであると考えられます。障がい者に対する受け入れ体制をきちんと整えている企業では、障がいを持つ人がとても働きやすいのです。
しかし法整備はされてきているものの、まだまだ雇用の数は少ない障がい者雇用。また、前述したように賃金等の問題もあります。
障がい者雇用と一般雇用にはそれぞれ、メリット、デメリットがあります。ご自分の適性や希望を照らし合わせて、選択してみてくださいね。