シリーズ「凸凹マップ!」について
シリーズ「凸凹(でこぼこ)マップ!」は、発達障害当事者の人たちの体験談をまとめた連載です。
発達障害は凸(でこ…得意な部分)と凹(ぼこ…苦手な部分)の差が大きい障がいと言われています。
詳しくは発達障害とは何か? 〜法律に基づく3つの特徴〜をご覧ください。
こうした発達障害について、まだまだ世の中には認知されていない現状があります。目には見えづらい障害だからこそ、なかなか周囲に辛さを分かってもらえず、苦しい思いをしている当事者の人たちが多く存在しています。
シリーズ「凸凹マップ!」は、そうした人たちの手助けをするために執筆しました。この連載が、発達障害で悩む当事者、保護者、支援者の人たちの、障害を理解するヒントになれば幸いです。
発達障害体験談
当事者ロートさんのプロフィール

ロートさん
- 女性
- ASD(自閉症スペクトラム)当事者
- 二次障害で2回うつ病を発症
- IT系技術職(クローズ就労)
ASDの症状について
ロートさん、よろしくお願いします!
まず、ASDの症状についてざっくりとお聞かせください。
コミュニケーションの面で難しさを感じることが多いです。
相手の言っている意味を一発で聞き取れなかったり、円滑にやりとりできなかったり……
社内の人間関係づくりが大変だと感じていますね。
小学生の時、兄弟の診断と一緒に発達障害が発覚
発達障害の診断はいつ頃されたのですか?
2回受けました。
初めは小学生の時、2回目は大人になってからですね。どちらもASDの診断を受けました。
診断のきっかけはありますか?
もともと兄弟がLDの傾向があって、ついでに私も診断してもらったらASDだったんです。
下の兄弟よりも、ついでに調べた私の方が発達障害の程度は重かったので、両親は驚いたでしょうね……。
たまたま分かった形だったんですか……!その後はいかがでしたか?
両親から発達障害に対する理解は得られず
うーん。理解されなかったですね。
両親は学費に関してはかなり支援してくれました。塾にも通わせてもらいました。
でも、私の発達障害に関しては関心がなかったように感じます。
発達障害と関連して、勉強面でのお困りはなかったのですか?
勉強はできる方だったので、そこは問題なかったですね。
「投資に見合ういい子」を求められて
子どもに診断が下りたとしても、発達障害に関心のないご両親は少なくはありません。
大きな問題がない限りは「様子見」される方もいらっしゃると聞きます。
しかし、どうやらロートさんの場合、問題はそれだけではなさそうです。お話を伺っていくうち、ご家庭の事情が少しずつ明らかになってきました。
記憶に残っている言葉なのですが、
親はよく「投資に見合うような人間になれ」と言っていましたね。
え!?それはどういうことですか?
親の期待するように育てということです。
学費をたくさんかけたんだから、その分いい子になれという意味なんでしょうね。
何だか……息苦しいですね。
人並みにならなければという思いが強い
就労してから、二次障害でうつ病を発症してしまったんですが、うつ病に対する理解も得られず辛かったですね。
両親は私に聞こえるように「うつ病の人は死んだ方がいい」と悪口を言っていました。
うーむ……
私の場合、発達障害とこういった家庭の事情が複雑に絡んでいます。
症状が出てもどちらが原因か、それとも両方が原因なのか?特定が難しいことがあります。
ただ、自分は勉強ができた方なんですね。
そこで力を伸ばすことができたので、今の仕事に繋がっている部分はあります。
前編まとめ
なるほど!ロートさんはIT系の技術職をしていましたよね。
今の仕事について詳しく伺ってもいいですか?
前編では、ASD(自閉症スペクトラム)当事者のロートさんからお話を伺いました。
うつ病の発症原因は発達障害によるものなのか、家庭環境によるものなのかご自身でも判断がつかないそうですが、ひたむきに努力されている姿が感じられました。
後編では技術職をされているロートさんのお話を詳しく伺っていきます。