知能検査の目的と種類

知能検査は何のために受けるの?

様々な支援を受けるための手続きを進めていく上で、知能検査結果の提出が必要な場合があるかと思います。あるいは、学校の先生から検査を勧められたことがある方もいるかもしれません。
今はWISC(ウィスク)や田中ビネーが主流でしょうか。

保護者に検査を勧めたり、手続きに結果が必要なことをお伝えしたりした際、「うちの子は発達障害なのですか?」と聞かれたことがあります。
結論から言いますと、WISCなどの検査は発達障害の有無を判定するものではありません。

話す力、見る力、覚える力、判断する力などを数値化し、その子の「苦手なことや得意なこと」から、「勉強の仕方や普段の関わり方において、より良い支援の手がかりを得る」ことを目的としています。
発達障害あるいは知的障害の有無は専門の「医師」が、様々な観点から総合的に判断するものであり、検査者や学校の先生が判定できるものではありません。

スポーツでも、得意なポジションと苦手なポジションがあったりしますよね!
自分の性格や得意な技能などによって、自分に合ったポジションを選ぶことで成績が大きく変わります。スポーツテストの知能版、といったところでしょうか。

勉強や日常生活も同様に、自分の(お子さんの)得意不得意を理解することで、自分に合いそうな勉強法や人との関わり方を考えるヒントに活用するための検査と考えてもいいかもしれません。

保護者の方に検査を勧める際には、
「何が得意で何が苦手かが分かると、どんなふうに説明したりアドバイスしたりしたらよいか分かるので、担任の先生も助かると思います。」のような伝え方をすることが多いですね。

知能検査の種類

知能検査は何種類かありますが、ここでは、4つの知能検査を簡単に説明します。

①WISC―Ⅳ(ウィスク・フォー)

対象年齢5歳~16歳11ヶ月。

最大15種類の検査をもとに、5つの観点でIQを算出。

どれらから分かる得意不得意をもとに、勉強の仕方や支援者の指示の伝え方などを考える。

まもなくWISC-Vが導入。

②WAIS―Ⅳ(ウェイス・フォー)

対象年齢16歳~89歳。
WISC-Ⅳの成人版。

③田中ビネー

対象年齢2歳~成人

「思考」「言語」「記憶」「数量」「近く」などの問題で構成されており、算出された数値(精神年齢)と実際の年齢(生活年齢)の比較によってIQを算出する(13歳級まで)。

検査対象が幅広い。WISCよりもIQの数値が少し高めに出ることが多いとされている。

④KーABC(ケー・エービーシー)

対象年齢2歳6カ月~12歳11ヶ月。

大きな2つの尺度(認知尺度、習得尺度)とそれぞれ4つ(計8つ)の解釈度で構成される。得意不得意や今までの学習の積み重ね(基礎学力)を調べることができる。

どこで受けられる?

知能検査は、検査を導入している精神科や心療内科、大学の相談室、民間のカウンセリングルームなどで受けられます。
検査実施の有無を直接確認することもできますが、お住いの市区町村の教育相談(教育支援課、発達障害支援センターなど地域によって呼び名が違います)に相談することもできます。

一般的に知能検査は、初診や最初の面談で被検査者の様子などから検査の必要性を判断し、検査を行います。「検査を受けさせてください」と言っていきなり受けられるわけではないことも多いです。 「こんなことで困っています」「~が苦手です」とまずは相談をしてみましょう。

まとめ

「知能検査」と聞くと、とてもハードルが高く感じるかもしれません。ショックを受ける方もいるでしょう。しかし、先に述べたようにお子さん(あるいは自分)の得意不得意を把握するためのものです。

検査結果を見ただけでは、どうしたらよいのかわからないことも多いでしょう。
検査者や学校の先生、学校や職場のカウンセラーなど専門知識のある人とじっくりと話し合いながら、より良い支援を考えていきましょう。

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