自己肯定感を高める ~子どもの非行化を防ぐための手立て(支援者編)~

子どもが非行に走ってしまう理由には、非常に多くのバックグラウンドが存在します。成育歴、家庭環境、社会性、人間関係など、多くの事象が絡み合って子どもたちの人格を形成していきます。
今回は、私が支援者として大切にしていることや、支援の中で出会った事例の一部を紹介します。支援者としてだけでなく、保護者としてもつながる部分も多くあるかと思います。

●ほめることを大切にする

小学校の通常級担任として規律ある学級を築こうと悪戦苦闘していたある日、研修の中で講師の先生からこんな話がありました。

「大人は、怒るときは120%で叱るのに、褒めるときには、『すごいね』だけで終わってしまうことが多いですよね。」

心にぐさっと刺さるとともに、それまでの教え子たちに「悪かったなぁ」という思いが沸き上がりました。非行に走ってしまう子どもの多くは、学習面や社会性などにおいて、自己肯定感が低い傾向があります。できないことで叱られたりからかわれたりすることで、「頑張ってもしょうがない」「どうせできないし」という虚無感のようなものをもつようになり、ドキドキすること、ワクワクすることに安易に向かってしまいます。

苦手分野は誰しもがもつものです。ただ、学習やコミュニケーションの苦手さは「学校」という集団社会に通うにあたり、大きな劣等感を生み出すものになります。我々大人が、それを怠惰とみるのか苦手さと捉えるのかでその後の成長に大きく影響します。

苦手さをフォローしていくのか、他の得意な事を磨くのか、その方針は本人や環境の実態によって変わってくるでしょう。いずれにしろ、本人の頑張りや達成したことを褒めて磨き、二次障害を防ぐことがとても大切になります。忙しい大人は、無意識に「叱る>褒める」になりがちです。褒めるにはテクニックが必要です。できたりできなかったりしたことだけでなく、頑張った過程に注目し、その過程をたくさん褒めてあげることがとても大切です。そのような褒めるテクニックを磨いていきましょう。

●「ちゃんと」「しっかり」を使わない

これはユニバーサルデザインにもつながる話です。

「ちゃんとしなさい」「しっかりやりなさい」

意識しないと何気なく使ってしまいますよね。この言葉には、暗に「指示を出す人の意図を汲みなさい」ということが求められています。「少し」「ちょっと」「少々」「ちょっぴり」の使い分けを求められているのと同じです。そして、求められていることが正確にできないと「なぜできないの」と叱られる。理不尽な話ですね。

特に相手の気持ちを読み取ったり空気を読んだりするのが苦手な傾向にある子にとっては、どうしたらいいのか迷宮入りの難問です。

また、判断の難しいものとして「2種類のルール」があります。世の中にあるルールには2種類の側面が存在します。「①絶対に守らなければいけないルール」と「②守らなくてもいいけど、守った方がうまくいくルール」です。

1 に代表されるものは「法律」です。明文化され、白黒はっきりしていることが多いです。
2 に代表され、判断が難しいのが「暗黙の了解」です。

「ちゃんと」「しっかり」「暗黙の了解」などに共通することは、はっきりと具体的に表現されていないことです。何をしたらいいのか、どれくらいやればいいのかを明確にすることで救われる児童生徒は多いでしょう。発達障害の有無に関わらず、具体的に指示することで安心した集団生活につながるのではないでしょうか。

●「権利・個性・自由」の前に信頼関係を構築する

最近は、テレビドラマやSNS、YouTubeなどで、子どもの権利や自由などについての情報を広く収集できます。家庭内暴力や体罰、人権侵害などから自分の身を守るために、子ども自身が知識としてもっておくことはとても大切なことです。それにより救われた児童生徒は少なくないでしょう。

しかし、教育現場や支援現場では、困ったことも起きます。

「先生、それって人権侵害じゃないですか?」「先生、それは差別です。」

と言われた際、どう対応するでしょうか。そういった発言が出ているということは、何かしらその児童生徒に不快感を与えていることは間違いないでしょう。対応を間違えると、その児童生徒と関わることがとても難しくなります。

場合によっては職を失うと思うと、腰が引けて児童生徒の不適切な要求が通り続けてしまう。
かといって、自分の方が正しいと主張しようとすると、対立関係になってしまう。
私もこのジレンマに悩まされた時期がありました。大切なことは、その児童生徒の現状をよく把握することです。

もし、その児童生徒との人間関係がある程度できていて、悪気もなくふざけて言っているだけの場合、折を見て法律や人権などについて正しく教えていくことで、正しい使い方を身に付けていくでしょう。しかし、人間関係ができていない場合、「嫌な気持ちにさせてしまったんだね」と、まずは、嫌な気持ちになっているということを受け止めてあげましょう。

その上で、その児童が人権などを振りかざしてしまうようになったバックグラウンド等をマクロな視点で読み解いていく必要があります。成育歴、家庭環境、発達障害など、さまざまな原因が考えられます。そして、新たに人間関係を構築していくことが求められます。


まとめ

今回は私の経験をもとに3つの視点からお話をしました。しかし、最初に述べたように非行の背景には、本当に多くの原因が想定され、同じようなタイプの非行でも、その細かい背景は必ず全員違う、と思っておくことが大切です。児童理解を広げて深め、適切な関わりを目指していきましょう。

発達障害・知的障害があっても入れる保険を知りたい人は…


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