文科省の最新調査を踏まえて、学校と保護者でできることは?

2022年12月13日、文部科学省の調査で、通常学級に通う公立小中学校の児童生徒の8.8%、高等学校の生徒では2.2%に発達障害の可能性があることが報道されました。文部科学省の調査結果を見ると、具体的には小中学校の学級担任等から「学習面又は行動面で著しい困難を示す」と回答があった推定値(95%信頼区間)が8.8%(8.4%~9.3%)です。

これは、35人学級であれば1クラスにおよそ3人が何らかの困難があることになります。あくまで「学校の教員」が回答したものなので、医師の診断や専門家による判断ではないため、実際に発達障害があると断定することはできません。

しかし、私自身学校現場で働いていますが、診断があるにも関わらず、特別な支援を受けられないお子さんがいるのが、残念ながら事実です。

もちろん、発達障害や特別支援教育という言葉が以前よりも普及してきて、多くの人に認知が広がったという背景もあるかと思います。実際、10年前の前回調査から2.3%上昇しています。昔から、何かしらの困難を抱え、苦しんでいたお子さんもいたことでしょう。しかし時代は流れ、インクルーシブ教育や、合理的配慮などの言葉が広まりつつある現代で、私たち大人ができることは何でしょうか。

これらの結果を踏まえて、学校現場は子どもたちに何ができるか、考察していきましょう。


〇目次

 1.教師ができること

 2.保護者ができること

1.教師ができること

 校内で先頭に立って特別支援教育を担っている人は、と聞かれたときに、最初に思いだすのが特別支援学級担任だと思います。そのほかにも通常学級で学習に困っている子どもをサポートする支援員などの先生もいます。

一番心がけたいことは、「待つ」ということだと考えています。発達障害のあるお子さんが困らないように、環境を整えることが支援者にとって大切なことです。しかし、環境を整えて、いざ子どもたちに任せようとすると、つい口を出してしまったり、手伝ってしまったりしてしまう経験、ありませんか?

できれば、環境を整えた後は、支援者は「待つ」ことを意識して、子どもたちにやらせてみると良いでしょう。もちろん、大人の目が離れないようにすることが前提ですが、お子さんが頑張っている姿を見ながら、自力解決しようとしているそのプロセスを褒めてあげると、更にやってみよう、という意欲がわきます。また、もし失敗しても、落ち着いた場所でフィードバックを行うことで、振り返りも行うことができ、何が良かったのか、悪かったのかをお子さんから聞き取ることができます。

ぜひ、「待つ」意識を持ってみてください。


2.保護者ができること

 お子さんが苦しんでいる様子が見られたら、お話を聞くことが重要です。また、SOSを出してきたときに、すぐに受け取ることも大切です。具体的にどうすれば良いのでしょうか。

 学習面で苦しんでいたら「WISC-Ⅳ」などの知能検査を受けて、困っている理由を調べるという方法もあります。学校経由だと、無料で受検できる自治体もあります。

 生活面で困っていたら、具体的に何で困っているのか、お子さん本人や、学校の先生などから情報を集め、医療機関に相談してみることも手でしょう。

 近頃、グレーゾーンという言葉も世に広まっていますが、その子が笑顔でいられるために大人ができることは何か、考えることが責務ではないでしょうか。

◯まとめ

子どもたちのために何ができるのか、筆者も毎日考えているところです。しかし、子どもたちが安定した生活を送るために、関わる大人がどのようにするべきか考える機会を設け、時には子どもたちを信じて「待つ」ことを意識してみてはいかがでしょうか。

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