3つの分類

はじめに、前回と同様に子どもの行動を3つに分類し、整理していきましょう。
①好ましい行動
・肯定的な注目を与える。(褒める)
②好ましくない行動
・スルー=注目を取り去る、好ましい行動を待って褒める。
③危険な行動・許しがたい(すぐに止めさせたい)行動
・制限を設ける、警告と罰(ペナルティ)
そのうえで、②に該当する行動が今回のターゲットとなります。
具体的な実践例

それでは、子どもの行動を分類していく際のセカンドステップ「②好ましくない行動」について考えていきたいと思います。
今回、押さえるべきポイントは「スルー(好ましくない行動を無視する)」です。スルーは「子どもの好ましい行動を待つこと」という目的に沿って行います。
例:子どもがゲームをしている
1.終わりの時間が近づいてきた時
親:「後、○分で終わりだね。」と伝える。
2.終わりの時間になった時
親:ここで終わろうとすることができれば「褒める」。
(※少しでも終わろうと動きはじめたら、褒める)
3.まだやめようとしない
親:スルーし、否定的な注目を与えないで待つ
⇒待っていたら、自分でゲームを終えることが出来た
親:分かりやすく子どもの喜ぶ形で褒める
4.待ってもゲームをやめようとしない
親:効果的な促しをしたり、スルーし、否定的な注目を与えないで待つ
⇒ゲームを終えることが出来た
親:分かりやすく子どもが喜ぶ形で褒める
「②好ましくない行動」を伝える時のポイント

①「代わりにしてほしい行動」が子どもにできることかどうか考える
・子どもが代わりにしてほしい行動(ゲームをやめる)ができるかどうかを見極めて対応しましょう。
※ゲームを自分でやめることができない場合は、効果的な促し方を設けるかを考えます。(効果的な促し方は後にご紹介します。)
またその行動が、本人や他者の健康を害するような行動と判断できるときは、行動制限を設ける、警告と罰(ペナルティ)をするといった方法に変更して対応していくことも検討していきます。(行動制限や警告と罰は次回紹介いたします。)
②好ましくない行動が出たらすぐにスルーする
・子どもが好ましくない行動をしたら、すぐにその「行動」をスルーします。
好ましくない行動をスルーすることで否定的な注目をなくし、してほしくない行動を減らします。
③子どもが行動をやめて、好ましい行動を始めたらすぐに褒める
・スルーを効果的にしていくためにはスルーをした後に褒めることが大切です。
褒めることで好ましい行動を増やしていきます。
④どうしてもスルーができなくなったときはアクションプランを作っておく
・親側が待てなくなった時のためのアクションプラン(他の所に注目するプラン)を作っておくのも、有効です。
【ゲームをやめない→夕食の食材を確認する、冷蔵庫を見る、場所を移動する、など他の所に注目する】
効果的な促しとは?

スルーだけで対応が難しい場合は、効果的な促しをしてみることも有効です。
効果的な促し=今してほしいことを、短く具体的に分かりやすく指示することです。
※指示の出し方のポイント
◯CCQ
「Calm(穏やかに)、Close(近くで)、Quiet(静かに)」の略で、「親自身が穏やかに、子どもに近づいて、静かな声で」指示を出すことです。
◯選択させる(Aにする?Bにする?)
【2時に終わる?それとも3時に終わる?】
◯○○したら✖️✖️できる
【今終わることができたら、明日ゲームができる】
◯他の人(子ども)の力を利用する
【○○くんと一緒にやめる、他のできている子をほめる】
◯ぶれずに同じことを繰り返し伝える
まとめ
子どもは何かをしたときに注目を与えられると嬉しい気持ちになり、再度同じ行動を繰り返すようになります(強化)。逆に注目を得られないとその行動は次第に減少(弱化)していきます。そのような学習を繰り返す中で社会の中で適応する術を身に着けていきます。
好ましい行動を増やしていくためには、具体的にすべきことを伝え、出来た時に褒めることで、子どもの好ましい行動が増えていきます。好ましくない行動を減らしていきたいときには、スルーして注目を取り去り、好ましい行動を待って褒めていきます
ぜひこの行動学習の原理をお子さんとかかわる際に活用してみてください。