注意力とは何か?〜4つの注意機能から支援を考える〜

注意力とは?

発達障害の分野ですと「注意」という言葉は、ADHD(注意欠如多動症)という言葉が思い出せると思います。

発達障害と同じく、脳機能に関連する疾患なので、高次機能障害で扱われる「注意機能」の話は、発達障害者支援でも有効な面は多いので、今回は「注意」について紹介したいと思います。

注意は一言で言えば、「特定の事柄に意識を向けること」と言えます。

そして、この注意には4つの種類があります。

  1. 持続的注意
  2. 選択的注意
  3. 配分的注意
  4. 注意の転換

です。

以下で詳しく紹介します。


 

①持続的注意

持続的注意とは、「特定の対象に向けた注意を持続させる力」といわれます。

 ▶︎ADHDで1つのことに熱中してしまう過集中が多い子
 ▶︎ ASDのこだわり行動が強いなどの特性がある子

などは、この持続的注意が高いタイプと言えます。

反対に、この注意機能が低いと、1つのことを続けられず飽きっぽかったり、すぐ「疲れた」と言って終わらせようとする様子が見られます。ADHDで注意散漫なタイプは、こちらの持続的注意が低いタイプと言えます。


このように、持続的注意が低いタイプには、1回の活動時間を少なくして、こまめに休憩を入れるなどの支援が有効といわれます。

 

②選択的注意

選択的注意とは、「複数の物の中から、適切な対象を選び注意を向ける力」を指します。

この力があると、

 ▶︎ 仕事中に今必要なことを選んで行うことができる
 ▶︎ 授業のめあてに沿ってを進める

などの行動ができます。


一方、選択的注意の力が低いと、

 ▶︎ 片付けをする時に何から片付ければいいの?と迷ってしまう
 ▶︎「ご飯何食べたい?」と聞かれても、「う〜ん」と決められず迷ってしまう

ような場面が見られます。

ASDの人は、1つのことに対する持続的注意の力がある一方で、複数の中から選ぶ、選択的注意の力に課題があるケースが多いと言えます。


このような、選択的注意の力に課題がある子には、周囲の刺激を減らしたり、選択肢をなるべく少なくする環境調整が有効な支援になると言われます。


 

③配分的注意

配分的注意とは、「複数の対象に、同時に注意を向ける力」のことを指します。

この力が高い人は、サッカーやバスケットなどでは、ボール、味方、相手と複数に注意を払う必要のあるスポーツや、周囲の情報を同時に注意を払う車の運転が得意な傾向があります。

 

反対に、配分的注意の力が低い人は、サッカーやバスケなど球技は苦手な傾向がありますし、自動車の運転は苦手と言えます。

特に運転中に、助手席の人と会話をすることは避けたほうが無難でしょう。

 

また、3人以上の会話になると、同時に、複数の人に注意を払う必要があるので、この力が低いと大変だと言われます。

 

対策としては、複数のことに同時に取り組むのではなく、やることを書き出して、1つずつ順番をつけてから取り組むと良いでしょう。選択的注意にもつながりますが、同時に取り組むのは、高い注意力が必要なようです。


④注意の転換

注意の転換とは、「注意を向けた対象から、別の対象へと注意を切り替える力」を指します。

注意の転換の力あるおかげで、ゲーム中に「ご飯よ〜」と言われたらスムーズにゲームを終えて移動することができますし、仕事中に電話が来たら、素早く電話モードに切り替えることができます。

 

一方で、注意の転換の力に課題があると、パソコン中に電話が来ても出られなかったり、目の前の仕事に気を取られて、次の予定の時間に間に合うように準備をする、などの動作が苦手になります。

対策としては、切り替えにかかる負担を減らすために、周囲の人の助けを借りたり、スマホなどの道具を利用して、切り替えやすい環境を調整をすることが大切です。

最近は、PCで仕事をする時も、今は自動保存モードなどがあるので、いざという時で大丈夫、という安心感のある環境を作ると切り替えがしやすくなるでしょう。


最後に

注意の力は、様々な機能を支える土台になっていると言われます。そして、リハビリなどでは注意機能の改善プログラムなどから、社会性や言語機能なども向上させることができるという研究結果も報告されています。

 

これが、子どもの発達支援に応用できるかどうかは、まだ研究中ですが、新しい可能性がある分野として注目していきたいですね(^ ^)

以上です!


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